同性結婚を禁止する条項をカリフォルニア州憲法に付加させる州法案8は合衆国憲法違反である、として起こされた訴訟(「ペリー対シュワルツェネガー」)において、本日、サンフランシスコの連邦地域裁判所で裁判が始まった。(カリフォルニア州法案8についてご存知無い方はまずこちらを読んでいただいて、同法案を取り巻くその後の動きをこちらで追っていただきたい。)
この「ペリー」訴訟については、結婚が性別を問わず合衆国憲法で保障されている権利であるか否かを問う連邦レベルでの初めての訴訟であることの他に、面白い点が3つある。
まず1つは、原告(州法案8反対者)側の弁護士がデイビッド・ボイズとテッド・オルソンである、ということ。
デイビッド・ボイズは、アメリカでは超有名な弁護士だ。彼は、マイクロソフトを独占禁止法違反で訴えたクリントン政権下の連邦法務省に雇われ、法廷でマイクロソフトを敗北させた。(しかしその後マイクロソフトは、共和党に多額の献金を行ったのが功を奏したのか、ブッシュ政権下の連邦法務省との和解に成功した。) またボイズは、著作権侵害で音楽出版業界から訴えられたナップスターを弁護した。また、マイケル・ムーアが映画「Sicko」のロケでキューバに行ったことで、ブッシュ政権下の連邦法務省の捜査の対象になったが、その時ムーアが雇ったのがボイズだった。
一方、テッド・オルソンも名の知れた弁護士だ。彼は、イラン・コントラ事件でレーガン大統領(当時)を弁護した。(イラン・コントラ: 1980年代に、連邦政府の重要人物らがイランに武器を売り、受け取った金をニカラグアの右翼軍事集団コントラに資金として回していた事件。その頃はイランはイラクと戦争状態にあり、アメリカはイラクと同盟関係にあった為、アメリカによるイランへの武器販売は連邦法で禁止されていた。また、左派政権を支持するニカラグア市民に対して誘拐・殺人・拷問などの残虐な行為を行ったコントラに資金優遇したことも批判された。) オルソンはまた、ブッシュが大統領になる前に、とある訴訟で彼を法廷で勝利に導き、彼の信頼を勝ち取ってブッシュ政権下の訟務長官(連邦政府の弁護を担当)に収まった。
そのブッシュの信頼を勝ち取ったとある訴訟とは何であるかというと、2000年の連邦最高裁のケース、「ブッシュ対ゴア」だ。2000年の大統領選挙において投票が行われた後、フロリダ州最高裁が、同州の特定の郡に、機械ではなく手でちゃんと票を数え直せ、と命令を下した。そしてそれにより、民主党候補者アル・ゴアの票数がどんどん伸びて、共和党候補者ジョージ・ブッシュのリードを覆すかと思えたその時、ブッシュはこの票数え直しを中止させるよう、連邦最高裁に請願したのだった。これが「ブッシュ対ゴア」で、ブッシュの弁護士として法廷に立ったのが、テッド・オルソンだったのだ。そして、オルソンに対抗して法廷に立ったゴアの弁護士というのが、なんとデイビッド・ボイズだったのである。(連邦最高裁がどう判決を下したかは、みなさんご存知だろう。)
2000年にアメリカの行方を左右させたあの法廷で敵同士だったこの2人の大物弁護士が、今ゲイの権利を守る為に力を合わせて頑張っているわけである。
「ペリー」の面白い点の2つ目。州「法案」8とはいえど、もう通ってしまった法案なので、州政府はこれを執行する義務がある。であるから、「ペリー対シュワルツェネガー」というケース名からもお分かりのように、州政府もこの訴訟の被告人の1人として指名されている。だから本来なら、ブラウン州法務長官は、法廷で州法案8を弁護する立場にあるのだが、彼は法廷には現れないことにしている。彼自身、「州法案8は違憲」という意見を持っており、またシュワルツェネガー知事も、州政府が州法案8を擁護する側に就くのはまずい、と思っている為だ。
「ペリー」の面白い点の3つ目は、この裁判のビデオをYouTubeにアップロードすべきか否かについて議論があったことだ。原告(州法案8反対者)側は、TVによる実況生中継を希望していたが、連邦地裁のウォーカー判事は、裁判を録画しておいて後にYouTubeにアップロードする、と決断した。ところが、被告(州法案8を提案したグループ)側がこれに猛反対した。世間の目にさらされると、自分たちはゲイの権利擁護派からハラスメントを受けるという心配から、証人がうまく証言できなくなってしまう、という。このYouTubeビデオに関する争いは連邦最高裁まで持ち込まれ、連邦最高裁は、自分たちが決断を下すまで、「ペリー」法廷の録画は中止、と命令した。
ということで、「ペリー」裁判第1日目、私は専らTwitterに頼ってリアルタイムの情報を入手しなければならないようだ。法廷の外側には同性結婚を支持する人々が集まっているが、その写真はこちら。
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